財務諸表の読み方
学校法人の会計データは、初めて見る人には読みずらいものがある。
財務諸表は「資金収支計算書」「消費収支計算書」「貸借対照表」「財産目録」と付属明細書(基本金明細書や借入金明細書など)がある。
学校経営の財務の問題点を把握する要点を整理してみたい。
<消費収支計算書>の計算構造は
学生生徒納付金収入
・・・・・・・・・
帰属収入合計
基本金組入額
消費収入の部計
人件費
教育研究経費
管理経費
・・・・・・
消費支出計
消費収支差額
である。
このうち基本金組入額は当年度の設備支出や過年度の建設に要した借入返済などの合計で、本来資本取引である。
企業会計の経常利益に相当する状況を把握するには、<帰属収入計―消費支出>を計算し経営状態を把握する。
次に<資金収支計算書>は、キャッシュフローの状態を概ね表すものである
学生生徒納付金収入
・・・・・・・・
前受金収入
資金収入調整勘定
前年度繰り越し支払資金
資金収入の部計
人件費
教育研究経費
管理経費
・・・・・・・
資産運用支出
資金支出調整勘定
次年度繰越支払資金
資金支出の部計
である。
学校経営が厳しくなると、つまり学生募集が不調になると、当然学生生徒納付金収入は減少するが、さらに前受金収入も減少し、結果として次年度繰越支払資金も減少する計算構造となっている点が特徴である。
学生生徒納付金収入の中には前年度入学予定者の学費(前受金収入処理)が含まれており、それを資金収入調整勘定で相殺している。
大きな問題となるのは、大まかに言えば前受金を下回る次年度繰越支払資金となっているケースであり、実質的に運転資金の前借状態となっている可能性が高い。
ただし、その前に資産運用支出で資金を移動させているかどうかはチェックしなければならないが。
学校経営は前年度の学生募集結果により大きく左右される。結果が悪ければ年度途中での改善は望めないばかりか、在学年数(2年とか4年)だけその影響を受けることとなるので、改善には時間を要するところとなる。
学校経営の問題点はとどのつまり学生募集状況による。
なお、学校法人会計基準の改定が予定されている。