事業再生支援の進め方(実抜計画)

2013-02-09

窮境に陥った企業の再生支援をどのように行うか、を述べてみることとしたい。

 窮境に陥った企業とは、資金繰りに窮し金融機関の借入返済の猶予を受けている企業のことである。
 金融機関の債務者区分では、「正常先」、「要注意先(うち要管理先)」、「破綻懸念先」、「実質破綻先」、「破断先」とされ、このうち要管理先以下の企業が対象となる。
 要管理先以下に区分されれば、金融機関においては貸倒引当金を多く計上する必要があり、おおむね要管理先では債権額の15~20%程度、破たん懸念先では60%、それ以下では100%の引き当てが必要とされている。当然新規貸し出しを行うことはできない。(金利以上の引き当てが必要なため)
企業は新規借り入れができない状態である。リスケ(条件緩和)による金融支援を受けている状態でもある。財務諸表は実質貸借対照表で債務超過、経常損失の状態にある。

この状態を打破し収益力のある健全な企業に変えることが事業再生の支援である。

事業再生計画では実現可能で抜本的な計画の策定が求められる。
中小企業再生支援協議会が定める再生の基準では
実現可能な計画とは
・ 計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること
・ 計画における債権放棄などの支援の額が確定しており、当該計画を超える追加的支援が見込まれる状況でないこと。
・ 計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものになっていること。
抜本的な計画とは
・ 概ね3年以内の経常黒字化
・ 5年以内の累積債務超過の解消
・ 計画終了時点(債務超過解消時点)での有利子負債対キャッシュフロー倍率10倍以内
とされている。
また、合理的で実現可能な計画として、10年以内の計画も可能とされている。

事業再生支援は当該企業の実抜計画が策定できるか、にかかっている。もちろんその実現にかかる支援はその後の課題となるが。
累積債務超過の解消では資本制借入の活用(DDS)の手法や、第2会社方式による再生支援(バット事業を切り離す)もあるが、詳しくは中小企業再生全国本部で情報を確認してほしい。
このサイトでは事業そのものの再生手法を紹介したいと考える。金融円滑化法のもと、事業再生の実体のない数値計画・改善計画が横行したといわれているので。

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